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【公式】世耕 弘成【和歌山から日本を再起動!!】
2011年05月23日
去る15日に由緒ある紀州東照宮の和歌祭に参加させてもらった。新緑のさわやかな気候の中、総奉行役として裃を着て、渡御の行列の先頭を歩かせてもらった。和歌山の歴史を体感したひとときであった。
しかし東北は引き続き大震災の衝撃のまっただ中にある。そして東京電力福島第一原発事故はいまだに収束の気配が見えない。この事故の影響で避難生活を余儀なくされている方々や仕事ができなくなっている方々への損害賠償を早く進めて行かなくてはならない。加えて、この事故がどういう経緯で起こったのか?事故原因の究明も早急に行わなくてはならない。
民主党政権が福島第一原発事故に関して「事故調査特別委員会」(事故調)を立ち上げようとしている。法曹界、学界、地元自治体関係者ら10人程度で構成し、独立性、公開性、包括性を原則とするそうだ。しかしこの事故調の構図には色々と問題が多い。
まず、事故調の設置を閣議決定のみで行おうとしているところが問題だ。首相をはじめとする閣僚の判断ミス等がなかったか?という点をメインに調査する委員会なのに、首相が主宰する内閣の閣議決定で作った組織や首相が任命した委員が首相や閣僚相手に踏み込んだ調査などできるわけがない。
また充実した調査を行うためには一定の強制力を持った調査権限の付与が不可欠だ。航空機事故調査委員会などは、法律によりそういった権限を与えられているが、閣議決定に基づく事故調ではそのような権限を持つことはできない。
さらに事故調が立ち上がってもいないのに、事故の賠償スキームを閣議決定したことも問題である。閣議決定したスキームでは、一義的には東電が全面的に賠償責任を負い、資金的に不足する部分を国から交付国債を受け取る新設の賠償機構が支援するという形になっている。要するに100%東電が悪いということを前提に設計された仕組みなのである。しかし本来はまず事故調を立ち上げ、東電と国の責任割合を確定してから、賠償のスキームを摂家宇するのが筋である。
このように民主党が閣議決定による事故調でお茶を濁そうというのならば、自民党として対案を出していきたい。現在自民党では塩崎恭久議員を中心に事故調設置の独自法案の検討を進めている。具体的な法案の中身は
、 事故調は国会に設置し、委員は国会が議決して任命する。もちろん内閣からは完全に独立させる。
委員からは原子力関係者は極力排除する。
偽証罪付きの証人喚問、書類の強制的提出などの強制力のある調査権限を付与する。
現・旧閣僚、行政機関、東電など幅広い調査対象とする。
設置から6ヶ月以内に調査結果を報告する。
というものである。
内閣が閣議決定でいい加減な事故調を設置したとしても、議会の権限でより強力な事故調の設置を提案していきたい。民主党内でも良識ある議員達は反対しないはずである。
2011年05月21日
今年はゴールデンウイーク返上で国会が開催され、第1次補正予算がスピーディに成立しました。被災地のことを考えれば復旧予算は1日も早く成立させなくてはならず、連休の開会は当然のことです。
また、民主党政権は6月22日でこの国会を閉会することを目論んでいるようですが、被災地で苦しんでいる皆さんがいる中で、国会が夏休みに入るようなことは許されません。われわれは年末まで国会を開き続けることを求めていきます。
さて第1次補正予算への対応については自民党内でずいぶん議論が行われました。歳出に関しては、復旧予算と言うこともあり、党によって考えが異なることもないので、大きな異論はありません。問題はその財源です。
自民党はこれまで子ども手当を始めとするばらまき4K(子ども手当、高校無償化、高速道路割引、農家の戸別所得補償)施策を撤回し財源に回すこと。年金財源の転用には反対であること。復興再生債を発行し財源を確保することを求めてきました。
今回の補正予算は自民党要求を無視した内容であり、本来なら財源について反対したいところですが、震災復旧に非協力的であるとの誤解をうけるおそれもあります。
結局4月29日に民主、自民、公明の政調会長が、子ども手当や高速道路料金割引など歳出の見直しについて各党で早急に検討を進めることや、今回財源として流用された年金財源については2次補正編成の際に再検討を行うことなどが盛り込まれた合意文書に署名し、その内容を前提に自民党は第1次補正予算案に賛成することを決めました。
今回の文書では子ども手当等について「各党で検討する」ということが明記されており、菅首相はこれまでのように「与野党協議」という言葉で政府与党の政策決定責任を逃げることはできなくなりました。民主党はまず自らの党内の集約を行わなくてはならないのです。マニフェスト厳守を求める小沢グループが存在する中で、どのような集約を行うのか。民主党に問いかけられています。
民主党がこれらの合意事項について誠実な対応を行わなければ、2次補正に向けて我々も厳しい動きをしなくてはならなくなります。そういう決意を腹に持ちながら、自民党は今回の1次補正予算には賛成することにしたのです。
2011年03月19日
3月11日発生した平成23年東日本巨大地震でお亡くなりになった方々に心より哀悼の意を表します。また被災された皆様方にもお見舞い申し上げます。救助や支援で奮闘いただいている皆様にも感謝を申し上げます。
発生時は参議院決算委員会を傍聴しているところでした。余震などがある程度落ち着くのを待って自民党本部に駆けつけて、党としての対応を協議しました。現在予算案は参議院で審議中です。この国家的緊急事態の中で予算の取り扱いをどうするか?事態に対処するための補正予算等をどうするのか?参議院野党第一党として方針を決めねばならないことがたくさんあります。
週末には和歌山で統一地方選に向けた演説会などいろいろな予定が入っておりました。また和歌山県内でも津波警報で避難している方々がおり、激励と視察に回りたいという思いは強かったのですが、自分個人の選挙区事情を優先して国家的危機の対応をなおざりにすることは国会議員として許されません。断腸の思いですべての地元日程をキャンセルし、東京にとどまって自民党幹事長代理としての責務を果たすことにしました。
今回の巨大地震はわが国始まって以来の国家的危機です。自民党は政府の活動に対して全面的な支援をしていきたいと考えます。予算審議中ですが、予算委員会を含む国会は当面全てストップすることを決断しました。補正予算等必要な対策予算に関しても迅速な成立に全面的に協力します。
また党として巨大地震対策本部を立ち上げ、自民党としての経験と知見を政府に提供する体制を整えました。谷垣総裁からは菅首相に対して自衛隊、警察、海保の活用方法、米軍との連携方法、PR体制等について助言をさせてもらっています。また地方議員等を通して上がってくる地域からの情報や要望をホットラインで政府の対策本部に迅速伝達しています。
国会や議員会館でもまだまだ余震が続いています。食料やガソリンも手に入りにくくなっています。電力不足に対応するために、日中は電気も消して節電に努めています。この国難を乗り切っていくためには、国会議員が先頭に立って頑張らなければなりません。しばらく和歌山に帰ることもかなわないかもしれませんが、ご理解方よろしくお願い申し上げます。
2011年02月22日
県内で鳥インフルエンザが確認された問題で、被害に遭われた養鶏農家および周辺の皆様に心からお見舞い申し上げるとともに、殺処分等の対応に24時間体制で尽力された県職員、紀の川市職員、陸上自衛隊の皆さんには心よりの感謝と敬意を捧げたい。
第一報は15日午後の仁坂知事からの電話であった。頭を殴られるような衝撃的な知らせであったが、仁坂知事は落ち着いておられ、「あらかじめ準備してあった対応策にそって迅速、適格に対処するので任せて欲しい」とのことであった。私は「知事を全面的に支持するので、陣頭指揮に専念して欲しい。県職員の皆さんにも対応に集中して欲しい。足手まといになってはいけないので、われわれ自民党の国会議員は、現地はもちろんのこと県庁等へ伺うことも控える」と申し上げた。
一方で自民党としても直ちに鹿野農林水産大臣に6項目にわたる対策の申し入れを行うなど、国レベルで出来る迅速な対処を行った。
その内容は、
早期通報体制の確立:鳥インフルエンザのまん延を防止するため、県、市町村と連絡を密にし、早期通報に基づいて的確な防疫措置を図ること。
防疫体制の強化:関係省と連携の下、専門家の現地派遣等最大限の支援を行い、消毒作業や埋却・焼却に必要な場所・施設等の確保および作業に従事する人の安全確保について万全を期すること。自衛隊の協力を仰ぐこと。 移動制限措置に伴う救済措置の充実:移動制限命令に協力した養鶏農家に対する救済措置について十分に配慮すること。 経営安定対策の充実:養鶏農家、関連中小業者に対する融資・補償措置等について充実強化を図ること。 風評被害の一掃:消費者が無用な不安を抱くことのないよう、鶏肉、鶏卵の安全性について、広く正確な情報をすみやかに提供すること。
感染経路の究明:関係省と連携の下、野鳥の生息調査や捕獲による検体の採取を進めるほか、ウイルスの解析を進めるなど感染経路の究明を行うこと。
というものである。
農水省からは申し入れの趣旨を踏まえて、きちんと対処するとの回答もあった。
2月18日現在、事態は拡大することなく、殺処分、埋却、汚染物質の処理等が順調に進められている。これは中央省庁での経験を踏まえて関連法規を熟知している仁坂知事の冷静沈着かつ迅速なリーダーシップによるところが大きいと思う。地元民からの信頼の厚い中村紀の川市長が現地の陣頭指揮にあたったことも大きかった。また今回の対応にあたっては管理職や秘書室も含めて県庁職員が450名動員されたということだ。殺処分や埋却という、肉体的にも心理的にも負荷のかかる仕事を24時間体制で実施をしてくれた。頭が下がる思いである。
事後の課題もまだまだ多い。今後も国として被害に遭われた農家等への補償、事業再建への支援、多額の処分費用を負担した県への財政的支援、風評被害の防止等について、万全を期していくようにしたい。
2011年02月19日
1月24日から第177通常国会が始まりました。民主党政権下で日本が融解していく中、政治をまともな姿に戻す正念場の国会だと思っています。そんな厳しい国会ですが、24日の開会式の風景を描写することを通し国会ってどうな形で始まるのかをお伝えしたいと思います。
まず朝10時から参議院本会議。この本会議は5分程度で終了しますが、議席の指定と特別委員会の設置の手続きが行われます。常任委員会と異なり災害対策等の特別委員会は会期毎に議決して設置されます。ただ事前に各党が合意している場合が多いので、いちいち投票は行われず、「異議無し」の確認だけで議決されることが通例です。
その後、各党で両院議員総会などを行い、開会へ向けての気合い合わせが行われ、12時45分には国会正門前に議事堂に向かって左に衆議院議員、右に参議院議員がずらっと整列して天皇陛下のお出迎えを行います。ナンバープレートが付いていない天皇陛下の御料車「ロイヤルセンチュリー」の車列が皇宮警察の先導で正門をくぐり正面玄関に横付けされます。その間、我々は最敬礼してお迎えします。
午後1時から参議院本会議場にて開会式が行われます。天皇陛下のお席は参議院にしかありません。よって参議院本会議場が開会式の場となります。全員が起立してお迎えする中、天皇陛下が入場着席されます。衆議院議長が式辞を述べ、続いて天皇陛下のお言葉をいただきます。お言葉の間は低頭して謹んでお言葉を伺います。終了後、天皇陛下がご退出。再び正門前に議員が整列し陛下をお見送りします。
残念なのは、天皇陛下の送迎や開会式をさぼる議員が少なくないことです。国会は憲法7条に基づき天皇陛下の名前で召集されます。開会にあたり、陛下のお言葉を聞くことは、国民の代表たる国会議員として非常に重要な憲法上の職務なのですが、その点を理解していない人が多いようです。
天皇陛下をお見送りした後、衆参でそれぞれ本会議が開催され、菅首相の施政方針演説をはじめ、外務大臣の外交演説、財務大臣の財政演説、経済財政担当大臣の経済演説が行われ、国会論戦がスタートします。
国会には超党派の和装議連というのがあり、毎年通常国会の開会式には和装で出席することになっています。議連メンバーの私も今年は和装で参加しました。同僚議員に七五三、落語家などと冷やかされましたが、きりりと引き締まった思いになりました。