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【公式】世耕 弘成【和歌山から日本を再起動!!】
2009年03月31日
「今政治に国民がもっとも期待をしていることは何か?」私が毎週末和歌山県下をまわり、多くの県民の皆さんと対話する中で、常に追い求めている問いかけである。
もちろん皆さんの期待は多種多様である。価値観も異なる。しかし今政治に求められていることは大まかに2点に収束すると考えている。ひとつは経済危機対応であり、もうひとつは国家公務員の特権をはじめとする公務員制度の抜本改革である。今政治に携わる者はこの2つの問題についてどう対処するのかの処方箋を持ち、具体的に行動して行かなくてはならない。私はこの2つの課題に対して大胆な処方箋を掲げて、同志である「速やかな政策実現を求める有志議員の会」のメンバーなどとともに、その実現に向けて行動を起こしている。
経済危機対応については、昨年末から、30兆円規模の「経済危機対応特別勘定」をもうけることを提唱してきた。そしてこれらを太陽光発電や電気自動車を一気に普及させるような「未来志向のプロジェクト」、リニアモーターカーのような「国民が希望を持てるビッグプロジェクト」、学校の耐震補強や京奈和自動車道や近畿道のような建設途上の高速道路建設の前倒しのような「どうせやらなければならない公共事業の大規模な前倒し実施」と耕作放棄地対策や森林作業、年金記録照合作業等を国の直轄事業として展開し雇用の受け皿とする「国による直接雇用」の4分野に分類して、経済危機に対応しながら、日本の国の将来を切り拓いていくプロジェクトに集中的に使用していくべきであると訴えてきた。そして30兆円の財源は、無利子だが相続税免除の特権がついた国債を発行して、眠っている資産を活用することを提案してきた。ここへきて遅まきながら内閣も追加経済対策の必要性を認め、30兆円規模の補正予算の検討作業に入り始めた。無利子国債についても当初は暴論として馬鹿にされたが、真剣に検討する空気も出てきた。
公務員制度改革に関しては、私は財団法人等の公益法人に勤務する国家公務員OBで65歳以上の者を直ちに退職させるべきであるということを主張している。65歳以上であれば年金が受給できるのだから国の資金が入っている法人で面倒を見る必要はない。逆に80歳近くまで公益法人を渡り歩き続け、高額の退職金を手にする者がいて、国民の怨嗟の的となっている。こういうすぐ解決できる問題をきちんと整理した上で、給与法を改正して降給、降格ができるようにして、国家公務員が60歳定年まで勤務する仕組みを作り、天下りを根絶していけばよいのである。こういった天下り根絶に向けた政府の取り組みよりも一歩踏み込んだ工程表作成や給与法改正案の策定にも取りかかっている。
有権者の声にしっかり耳を傾け、それに基づいて政策を構想し、仲間を募って行動し、具体的に法律や予算として実現していく。これが私の政治家としての基本スタンスであり、今後もぶれずに行動していきたい。
2009年02月10日
消費税を2011年から上げることを税法の附則に明記するかどうかについて自民党内で大きな議論となった。きっかけは年末に十分な党内の平場の議論が行われないまま、政審、総務会と党内手続きが幹部のみで進められ、2011年からの消費税上げを明記した「中期プログラム」が閣議決定されたことにある。これが単なる閣議決定であればいいのだが、年が明けて税法に明記するという動きが出たものだから、党内で反対論がわき起こり、慎重派と推進派に分かれて議論が行われたのである。
世界中の国が経済危機を乗り切るために減税や財政出動の議論をしている最中に、日本だけなぜ増税の議論をしなくてはならないのか?公務員改革や国会議員の定数削減が前提でないと国民の理解が得られない。ワタリを認める政令が出てきたような中で消費税は国民に理解されない。2011年から景気が上向くとの保証はあるのか?などなど色々な論点が出てきた。党の分裂につながりかねないくらい、慎重派と推進派の対立は深刻になっていった。
転機は15日朝の財務金融部会での伊吹元幹事長による「2011年までに枠組みの法律を作り、実際に消費税を上げる時には別途上げ幅や時期を決めた法律を作らなくてはならないんだよ」という「中期プログラム」に関する解説だった。素人ではとても読み取れない、税のプロである伊吹さんならではの深い解説だった。出席していた慎重派の茂木敏充議員と私は顔を見合わせ「それならば、妥協点はある。2011年までに法律を作ってもダイレクトに消費税上げにつながらないということだ。その点が明確になるように、わかりやすく文章を修正すればいいんだ」ということで二人で動き始めた。
安倍元総理も事態の収拾に乗り出した。15日昼の清和政策研究会総会終了後、推進派の町村信孝議員と慎重派の中川秀直議員を交渉のテーブルに着かせ、私に修文案作成を命じた。麻生総理と直接コミュニケーションをとり、河村官房長官や菅議員など麻生総理側近や塩崎恭久議員、山本一太議員や私といった慎重派にもコンタクトし「こんなことで党を割るべきではない」と訴えた。財務省や官邸の官僚からも正確な情報を得ていて、調整作業の中で的確なアドバイスをしてくれた。安倍元総理がいなければ今回の合意には達することはなかっただろう。
最終的に1月22日朝の財務金融部会で税法改正案が承認された慎重派の意見が取り入れられ、2011年消費税上げの明記は見送られ、上げる場合には別途法律を作ることが確認された。また消費税上げの大前提として「行革と無駄の徹底排除」が明記された。
自民党には多種多様な人材がいて、オープンな平場の議論を通して政策をまとめ上げていく能力があることを示すことになった。危機を乗り越えて感慨無量である。
私のブログ「世耕日記」(http://blog.goo.ne.jp/newseko)は最近少々スタイルを変更し、従来の日記形式に加えて、上記のような生々しい動きを伝える「主張」、「雑感」のカテゴリーを追加した。一度訪問してみてほしい。
2008年12月23日
去る11月20日午後、国会議事堂のそばにある国会図書館の会議室に自民党議員十数名が密かに集合した。塩崎恭久、茂木敏充、石原伸晃、伊藤達也、渡辺喜美など政界では政策通で通っている面々である。私も呼びかけ人の一人として参加していた。
自民党の政策立案機能が停止している。経済がとんでもない危機的状況に陥ろうとしているのに、きちんとした対応策が打ち出されていない。厚生年金記録の改竄という新たにとんでもない問題が持ち上がっているのに、十分な救済策が議論されていない。国民が厳しい経済状況に苦しんでいるのに、政治家や公務員が率先して血を流すような取り組みが行われていない。そういう危機感を参加したメンバーは共有していた。
政策に精通した、大臣などの重要ポストも経験して一定の知名度や重みのある議員を中心に、厳しい現状に対応した政策をつくり、発信し、麻生総理や自民党幹部に実行を迫っていこう。そういう目的でわれわれは集まった。またここで自民党の中堅・若手が行動を起こさなければ、自民党全体が国民から見放されてしまうのではないかという危惧もあった。
会議室では、どの政策から優先的に扱っていくべきか、熱い議論が闘わされた。その中でメンバーの中から「麻生総理は第二次補正予算の国会提出を年明けまで引き延ばすそうではないか。年末に向け経済が厳しさを増していく中で、補正予算案すら国会に提出されていないようでは、国民に説明がつかない」、「二次補正先送りを黙って見過ごしたのでは、経済政策を提言する資格はない」という意見が出た。
そこで急遽、翌21日に官邸に対して「二次補正の早期国会提出」を求める要望を行うことになった。要望書は私が徹夜で作成した。会の名前も「速やかな政策実現を求める有志国会議員の会」とした。そして21日の昼過ぎに、河村官房長官に対して要望書を手渡したのである。
われわれの要望は聞き届けられることはなく、結局25日には総理自身が見送りの方針を発表した。その結果、麻生総理は国民から「経済対策に積極的でない」、「リーダーシップが欠如している」と判断され、支持率が急落することにつながった。われわれの提言が聞き入れられていればと残念でならない。
現在、会のメンバーは50名近くに膨れあがっている。この会に対して倒閣運動だとレッテルを貼る人たちがいるが、間違いである。あくまでもわれわれは政策提言を通して、麻生内閣を支えていこうと考えている。今の自民党に総理大臣を交代させている余力はない。できる限り麻生総理を支えて反転攻勢に出るしか道は残っていないのである。今後ともわが会は、経済危機対応策や年金救済プログラム、議員歳費のカットや議員定数の削減について現実的な政策を打ち出していく覚悟である。中堅・若手の必死の提言を受け入れられるかどうかに自民党の命運がかかっているといっても過言ではない。
2008年11月05日
昨年5月に5000万件の「宙に浮いた年金」が明らかになって以来、当時は首相補佐官として、そして現在は年金行政改革議員連盟の事務局長として、この年金記録問題に真っ向から取り組んでいる。しかし問題は広がっていくばかりでなかなか終着点が見えない。最近では新たに厚生年金の標準報酬月額改竄問題まで明らかになってきて、まさに底なし沼の状態である。しかしこの問題の解決なくして老後生活の安心はない。これからも粘り強く取り組んでいく覚悟である。
ところで、「宙に浮いた年金」の解決のためにどれだけの予算が使われているかご存じだろうか?20歳以上の全国民への「ねんきん特別便」の送付など、膨大な予算が投入されている。先日成立した20年度補正予算分も含めるとなんと703億円もの予算が使われた。これらはすべて皆さんの税金によってまかなわれているのである。しかも問題の完全解決のためには約8億枚といわれる紙台帳の照合が不可欠だが、3000億円ほどかかるといわれている。本来必要がなかった途方もない費用が、社会保険庁職員の長年にわたる怠慢な仕事の結果使われることになっているのである。
では、原因をつくった責任者である社保庁の職員達はこの費用に関してどう対応してきているのか?弁償は行っているのか?実は驚くべきことに彼らは昨年の冬も今年の夏も平然と予定されたボーナスを満額受け取っているのである。退職していく職員も退職金を満額受け取っている。昨年の夏のボーナスについては、抵抗する社保庁幹部を塩崎官房長官と私で押し切って職員の9割強にボーナスの一部自主返納をさせたが、安倍内閣が退陣したらさっさと満額に戻している。こんな理不尽なことがあるだろうか。本来もらえるはずの年金を奪われた国民が社会保険事務所の窓口に並ばされて、記録回復に苦労している。そして罪のない国民の貴重な税金がどんどん記録回復のために使用されている。にもかかわらず、原因者たる社保庁職員はぬくぬくとボーナス等を満額受け取っているのだ。国民を愚弄するにもほどがある。
国家公務員給与法上、特定の省庁のボーナスだけをカットするのは難しいとのことである。また、国家公務員に対して損害賠償請求ができる制度もないということもわかっている。
それならば、自分たちで制度を作っていくしかない。私と社保庁のヤミ専従問題を追及している菅原一秀衆議院議員とで、国家公務員に対する損害賠償請求を可能とする法案を作り、それを次期総選挙のマニフェストにのせるよう保利政調会長らに要望を行った。署名を集めたところ102名もの自民党国会議員が賛同してくれた。この法案を成立させることができれば、社保庁職員やOBに対して国や納税者が損害賠償請求を行うことができるようになり、社保庁関係者には今までのサボり仕事のツケを支払ってもらうことになる。また農水省の汚染米検査のように他でも散見される公務員のサボり仕事に警告を発することになり、公務員全体に緊張感を持たせることが可能となる。
2008年09月17日
9月1日の夜、福田総理が突然の辞意表明を行い、政界に激震が走った。テロ特措法をはじめとする重要政策の手詰まり感を自身の身を投げ出すことによって一気に打開しようとした福田総理の気持ちは理解できるが、国民からは政権の無責任な投げだしとしか見えないだろう。このような事態となったことについて、福田総理を総裁として進んできた自民党の国会議員として率直にお詫びをしたい。
10日告示で総裁選挙が始まった。選挙は国会議員と都道府県連代表3名ずつの投票で決められる。各都道府県の3名の投票先を決めるにあたり和歌山でも党員が参加した予備選挙が行われる。県内9000人の党員による投票の結果1位となった候補者に和歌山県3名分の票が投じられることになる。現在わが党を代表する論客が正式に立候補し、激しい論戦を行っている。代表選を実施することすらできなかった民主党と比べ、民主的で政策論争の活発な党であることが示された。選挙運動となってはいけないので、私自身が現在どの総裁候補を支持しているかについてはあえて言及しないが、私が関与した若手代表候補擁立の顛末について説明しておきたい。
私は小泉・安倍改革を明確に継承する候補者の必要性を考えていた。盟友山本一太参議院議員が名乗りを上げていたが、単独では20名の推薦人を集めることは難しい情勢だった。棚橋泰文議員も手を挙げていたが、こちらも20名の確保は絶望的だ。若手の動きを統合できる実績、知名度のある候補を擁立して20名の推薦人を確保しなければならない。そこで山本議員とも話し合った結果、私は山本陣営にはあえて合流せずに、他陣営との連絡・調整役に徹し、山本、棚橋以外の第3の候補者の下の薩長連合を模索することとなった。
第3の候補として念頭に置いていたのは、塩崎恭久元官房長官と渡邊喜美前行革大臣である。二人は筋金入りの改革派であり、知名度も高い。大臣も経験して政策実行力も証明されており、慕っている議員も少なからずいる。この二人がタッグを組んで、米大統領選のように総裁・副総裁コンビで名乗りを上げれば「改革を止めるな」の強力なメッセージを発することができる。さらに山本、棚橋両陣営に参加している若手議員も合流すれば推薦人20名の枠を突破することができる。そう考えてぎりぎりまで調整に走った。塩崎、渡辺両議員は20名集まる見込みが立つならば名乗りを上げることと、二人でタッグを組むことを約束してくれた。山本議員はいざとなれば立候補を断念して合流する意向を示してくれた。しかし棚橋陣営は最後まで強硬であった。自分たちだけで進むことにこだわり続けた。結局棚橋議員の下に集まっている数名の合流がなければ20名には達しないことになり、若手改革派からの擁立は断念することになった。
現在立候補している5名も改革マインドを持った立派な政治家であり、この総裁選を通して活発な政策論争が行われ、国民に対して幅広い政策の選択肢が示されることを期待する。