2007年04月03日
東京都や神奈川県を中心とする首都圏への一極集中の問題点が指摘されているが、実は税制上大都会が過度に有利になっている現状がある。
例えば全国のGDPのうち東京都は約17%を占めているにすぎないが、法人税は全国の43%が東京都に集中している。また人口比では東京都は約10%だが、所得税のうち約33%が東京都に集中している。
一方和歌山はGDPでは0.68%で、法人税が0.28%。人口比が0.84%で所得税が0.42%となっている。こういう現象が発生している背景には東京に企業の本社が集中していること、比較的所得の高い人が集まっていることなどがあると考えられるが、東京が実力以上にお金を集め、地方は実力どおりのお金がもらえないという地方にとって不利な税制となっている。
こういうアンバランスを解消するために、私は現在「ふるさと還元税制」という仕組みを発案し、提唱している。
都会で働いている人材の多くは地方が手塩にかけて育てた人材である。子育ての過程では、各地の親が経済的な負担を背負いながら、旅行や買い物を我慢しながら頑張る。また小学校、中学校、高校はそれぞれの地域の税金と協力で運営されている。現在その子ども達の多くが高校や大学を卒業してから東京をはじめとする大都会に就職する。さあ社会に恩返しという段階になったら、彼らを育てた地域ではなく、就職先の大都会に彼らの住民税が入ってしまうわけだ。
また彼らが40歳、50歳となるまで、大都会で生活し続けた場合、年老いていく彼らの親の面倒は、また地方の税金でみることになる。
こういう現象は地方にとって二重三重の意味で不利であり、これを打破するのが「ふるさと還元税制」である。
具体的には、住民税のうち一定の割合(10%程度を上限)を本人の指定する自治体に振り替えることができるようにするという仕組みを考えている。これはまさに出身者からふるさとへの仕送りであり、自分を育ててくれた、あるいは親の面倒を見てくれている地域への恩返しでもある。この税制により地方の自治体は独自の財源を確保することができ、より魅力ある地域に再生するための投資が行えることになる。
この税制は決して地方へのばらまき政策ではない。地方の市町村にとっても、都会で働く出身者にとって「誇りうるふるさと」であり続ける必要があるし、都会で地元出身者の会を形成して住民税の振替を促進するなどの努力が求められる。
私は現在安倍総理の補佐官として首相官邸に常駐し、多忙極まる毎日を送っているが、総理のそばに常時いて、自由に助言できるというメリットも活かして、この税制プランについて総理にも進言を行っているところである。また財務省の総務省にいる私のブレーン達も、実現可能なプランとして評価してくれている。
東京、神奈川など首都圏一極集中を解消し、和歌山のような地方が希望を持って歩んでいくためにも、是非この税制を実現させていきたい。
2006年10月24日
9月26日の安倍内閣発足に伴い、内閣総理大臣補佐官(広報担当)に任命された。安倍総理からは任命時に「日本政府全体の情報発信機能を強化してほしい」との指示を受けた。
まったく新設のポストであるため、手探りで仕事をスタートさせているが、ともかく多忙である。議員会館の自室に行く時間はほとんどなく、首相官邸の中で早朝から夜中まで走り回っている。
毎日朝一番と午後に報道状況をチェックし、塩崎官房長官と打ち合わせをする。この打ち合わせに基づいて塩崎長官は政府としての公式の記者会見を行うことになるので、海外の情勢から国内で発生している事件まであらゆる分野の情報を集約し、政府としてのコメントを用意しなくてはならないので大変緊張を強いられる打ち合わせとなる。
さらに安倍総理が官邸で外国の要人と会談するときには必ず同席し、終了後その会談模様をマスコミ向けに記者会見して説明しなくてはならない。今までブッシュ米大統領、ブレア英首相との電話会談やライス米国務長官との会談に同席したが、一言一句が国益に関わる問題になるので、1秒たりとも気を抜くことはできない。
また安倍総理が外遊する際には同行して、現地のプレスや海外からの特派員たちを相手に情報提供や記者会見の設営をしなくてはならない。時には総理夫人を活用してソフトな話題を提供するのも私の仕事である。安倍総理の初の外国公式訪問である先日の訪中、訪韓の際も同行したが、寝る間も満足にないような日程であった。
危機管理にも備えなくてはならない。大規模災害やテロ等の緊急事態が発生した場合には、直ちに官邸に駆けつけ、危機管理の指揮を執らなくてはならない。特にマスコミを通じた情報提供が私の仕事なので、緊急事態発生時には素早い判断と行動が求められる。先日の北朝鮮による核実験の際には総理に同行して韓国にいたが、盧武鉉大統領との会談等公式日程に出席しなければならない安倍総理と日本にいる総理代理の塩崎官房長官の連絡役を果たすとともに、電話で官邸の内閣広報室と連絡をとり、報道対応の指示を行った。
日常の内閣記者会との対応も私の仕事である。現在いわゆる「ぶら下がり取材」の回数で協議が難航しているが、総理とマスコミの間に立ってこういう問題を調整するのも私の仕事である。
これだけではない。安倍総理からの特命事項が矢継ぎ早に降りてくる。海外広報の強化策の立案、日本のカントリーアイデンティティの集約、所信表明演説での公約事項の進捗管理等々、安倍総理が問題意識を感じたテーマについて、一日に何回も執務室に呼ばれて、指示を受けている。
私は今まで毎週週末は和歌山に帰り、有権者と触れ合うという政治スタイルを貫いてきた。しかし北朝鮮問題等危機管理事項も多く、これからはそう頻繁に帰ることもままならなくなりそうである。しかし安倍総理を直下でサポートできる仕事に誇りを持ち、時には和歌山のような地方の実情も総理に直々に進言しながら補佐官の仕事をがんばっていきたい。
2004年03月02日
平成16年度当初予算案で「緑の雇用担い手育成事業」が採択され、約70億円が盛り込まれることになった。緑の雇用事業は平成13年8月に木村知事のアイデアを私が小泉総理に直訴する形でスタートしたもので、この事業をきっかけに、過疎地である和歌山の山間部に家族も含めて約700人もの他県の人が移住してきている。都市から地方への人口流動を促すには効果抜群の施策であり、県全体の将来にとって生命線となる「緑の雇用事業」が予算の本丸である当初予算で採択されたことの意義は極めて大きい。またこれから本格化する京都議定書遵守のためのCO2吸収対策の担い手確保の視点からも重要である。
今までは毎年タイミングよく「雇用」をメインテーマとする補正予算が組まれたために、平成13年度の補正で「緊急雇用対策事業」として、そして平成14年度補正では「緑の雇用担い手育成事業」として95億円が予算化されてきた。しかし当初予算となると話が違ってくる。予算の本丸である当初予算には、各省ごとのシェアが厳然と存在し、有力議員が応援についている各種予算が山ほどある。しかも財政事情が厳しい中、今年は1兆円の補助金削減も行われた。当初予算では実績ゼロである「緑の雇用」を財務省に認めさせることは至難の技であった。
林野庁は概算要求で95億円の要求を行ったが、財務省の反応は厳しかった。われわれも今年5月に「緑の雇用議員の会」(会長:中谷元前防衛庁長官、事務局長:世耕弘成、会員45名)を設立し応援体制を強化するとともに、政府予算案決定ぎりぎりまで谷垣財務大臣、福田官房長官、安倍幹事長、額賀政調会長らへの働きかけを行った。
厳しい環境の中で小泉総理と官邸のサポートは力強かった。施政方針演説での言及、「骨太方針第3弾」での記載など、「緑の雇用」が政府の重要政策であることを明確にしていってくれた。特に小泉総理の思い入れは強く、国会答弁やテレビ討論等で繰り返し言及してくれた。
こういった各方面への働きかけの結果、当初予算で70億円が採択された。林野庁の要求よりは27%程度カットはされたが、これは研修初期費用(チェーンソー購入など)を精査して効率化した結果であり、納得のいく調整である。
また、私が政務官をつとめる総務省としても、交付税措置の中で約100億円の「緑の雇用」向けの枠を確保した。各県独自の緑の雇用関連施策を地方交付税の面からも協力にバックアップできるようになった。
緑の雇用事業が当初予算で認められたということは、木村知事の発案で和歌山発のこの施策が、今後国の一般施策として展開されていくということを意味する。今後この事業で山林に入った人々が日本の林業とCO2吸収対策の担い手として永続的にがんばれるように環境を整えて生きたい。また次は農業(休耕田の活用)と漁業(藻場の再生)へと事業の範囲を拡大することも目指してがんばりたい。
2003年09月02日
2003年04月18日
自民党内に「都市と農山漁村の共生・対流を進める調査会」という組織がある。道路整備の問題、税源の配分問題などで何かと対立の多い都市と農山漁村だが、これからは真剣に共存を考えていかなくてはならないということで立ち上げられた組織である。都市と農山漁村それぞれに人がお互いの地域の魅力を分かち合い、「人・もの・情報」の行き来を活発にしていくことで、都市と農山漁村の新たな対流が生まれ、共に生きる仕組みをつくることで、新たな日本再生の仕組みにしていこうというものである。政府の中には関係副大臣会議が設けられ、安倍官房副長官が座長を務めている。私もこの調査会に最初からメンバーとして参画し、和歌山県における緑の雇用事業の成功例などを紹介し、都市と山村の交流が大きなポテンシャルを秘めていることを主張してきた。
この調査会では都市と地方の交流に取り組むNPOの皆さんからのヒアリングも行ったが、その中でいろいろな問題点も明らかになった。特に改善の要望が強かったのが情報提供の方法を改めて欲しいということだった。農山漁村でのグリーンツーリズムや体験学習といった各種の制度や取り組みが各省庁や自治体レベルで導入されているものの、情報提供がばらばらに行われているため、国民やNPOにとってこれらの制度が分かりにくく使い勝手の悪いものになっているという問題点があるのだ。
そこで調査会ではポータルサイトとして機能するホームページを作って、都市と農山漁村の交流に関する情報を統合的に紹介してみてはどうかということになり、調査会の中に「交流情報小委員会」が設置され、私が副委員長としてホームページの運営方針などについて任されることになった。
実際のホームページの運営は「(財)都市農山漁村交流活性化機構」の中にある「都市と農山漁村の共生・対流関連団体連絡会」が事務局として担当して、4月からホームページでの交流情報の統合的提供がスタートしている。
決してお堅い情報提供ばかりではなく、ボランティア活動へのお誘いや環境保全運動、アウトドアライフ、各地の珍しい食べ物の情報提供なども行っている。まだまだ未完成のホームページなので、これからも改良を重ねていきたいと思う。たとえば緑の雇用のような農山漁村での就業体験談の紹介や、都会の人と農山漁村の人がテーマを決めて議論するBBS、ライブカメラや動画による風景の中継などがあっても面白いと思う。
ご家族でのゴールデンウィークのすごし方を検討されている方は是非このホームページを参考にされてみてはどうだろうか。例年とは一味違った休暇になるのではないか。またホームページではこの都市と農山漁村の交流を進める国民運動のネーミングを募集中である。是非応募していただきたい。(http://www.kyosei-tairyu.jp/)