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和歌山新報「がんばってます」/逆転の発想で産業を興す

2012年08月14日

逆転の発想で産業を興す

―新宮に水産加工の集積を―

和歌山県経済の冷え込みは厳しい。政治家にとって重要課題は、和歌山等の地方経済活性化を進め、新たな雇用と所得を創造し、地方に活気と希望を取り返すことである。

「私はこんなに予算を取ってきました」と自己アピールする政治家を時々見かけるが、「国から予算を持ってくる」という典型的な中央依存の発想で真の地方経済の活性化には効果がない。そもそも国の予算は政治家個人が「持って来る」ようなものではなく、色々な経緯や働きかけがあって決まるもので、それを個人の手柄のように粉飾して顕示するのは政治家としていかがかと思う。

私自身、和歌山県経済の立て直しのために、いろいろな取り組みを行ってきたが、中々決定打が出てこないのが実状である。県下の各市町村の地域活性化策の切り札は「企業誘致」だが、成果が上がっているとはいえない。


そんな中、私が理事長を務める近畿大学農学部の水産経済学担当の若手准教授から和歌山でも最も苦しい状況にある新宮・東牟婁地域の活性化に関して、面白い構想が上がってきた。「企業誘致」からの逆転の発想で、「地域から産業を興す」というアイデアである。構想を聞いて、私は理事長として直ちにゴーサインを出した。

新宮港には企業誘致を期待して広大な埋め立て地が造成されたが、一向に企業は進出していない。その用地を活用し、輸出型の水産冷凍加工施設を作る。というのが今回のアイデアである。和歌山でも最も交通の便が悪く、条件不利地と見られている新宮地域だが、水産加工・輸出という観点に立つと、実は非常に有利なポジションにある。

まず周辺沿岸には養殖業者が多数存在し、大量の魚をコストをかけずに集積することができる。また既存の水産加工施設が鮮魚を中心とした国内向けであることと、有力漁港には大型の旧式の設備が存在し更改にコストと時間がかかるため、日本の太平洋側には世界的な衛生基準をクリアした最新の冷凍加工施設はないため、新宮港に新型施設を作れば、海外向け冷凍加工品輸出を独占的に実施することができる。また近くには近大水産研究所があり、輸出先の味覚に合わせて冷凍加工しても美味しく食べることのできる養殖魚の開発も可能である。そして新宮港湾は最新の設備を備えており、大型船を横付けしてそのまま製品の積み卸しができる。さらに新宮港には税関があるので、輸出手続きも簡単にできる。
 


こういった長所を活かして、水産加工施設を作り、欧米やアジア地域に水産加工品を輸出していこうというプロジェクトに近畿大学と新宮市、そして新宮港埠頭(株)が一体となって取り組んでいくこととなった。将来的にはこの加工施設を軸に、他の食品加工施設も集積させ、日本における食品輸出の中心地にしていきたいと夢を膨らませている。

このように、大企業にお願いして進出してもらうのではなく、ましてや国にお願いして予算をもらうのでもなく、地域の特性を生かした産業集積地を自ら創り上げていくというこの新しい取り組みが、苦境に喘ぐ他の和歌山県市町村のヒントになってくれればありがたい。
 

KEYWORD:和歌山, 近畿大学, 経済再生

ニュース和歌山「国政直送便」/経営者に刺激とヒントを

2012年07月21日

経営者に刺激とヒントを


6月24日に私が主宰する「和歌山活性化サミット」第2回を開催。このコラムで以前に述べましたが、このサミットは私の人脈の中から最先端の経営者等を和歌山に招き、活性化のヒントやアイデアをもらう企画です。 第2回は日本を代表する観光カリスマである星野リゾート社長の星野佳路さんをお招きしました。300人近い観光関係者が参加してくれました。 このサミットの醍醐味は単に成功体験を聞くだけでなく、私とのパネルディスカッションを通して、和歌山にとっての意味を引き出していくところにあります。 今回も星野さんから竹富島星野リゾート開発の秘話やコンセプトについての興味深い話が相次ぎましたが、常に私が和歌山にとってそれが何を意味するのかという点に話を引っ張っていきました。 星野さんからは「風景や食事、温泉で勝負しても、類似の観光地は山ほどあり、勝つのは難しい。文化で勝負すべき。観光活性化は文化を見つめ直すところから始まる」との指摘がありました。私から和歌山の方言や食文化について説明すると、星野さんはそれを観光資源としてどう昇華させていくのかについて、いくつも提言してくれました。 白浜のようにビーチを売り物にしていると、収入の季節変動が大きく、質の高い正社員の雇用が難しくなり、接客レベルが上がらないという指摘がありました。星野リゾートが進出した竹富島も、夏と冬の格差が大きかったそうですが、文化を売り物にすることで季節変動を回避するという発想で進めているそうです。


また「『広告主』を考えろ」というお話にも頷けるところがありました。星野さんは「北海道と沖縄を広告しているのは道庁県庁でなく、JALとANA。誰かに広告させることが重要」と指摘。私が「和歌山は誰を『広告主』にすればいいのか?JR西日本か?」と突っ込むと、「JR西日本は単価の高い九州向けの旅行をPRするから無理。和歌山は関空が近く、関空は格安航空のハブを目指すのだから世界の格安航空会社に広告させればいい」と貴重なアイデアを与えてくれました。 出席者からは「参考になった」「頑張ろうという気持ちになった」との声が寄せられました。今後もこの和歌山活性化サミットを続け、和歌山の経営者達に刺激を与えていきたいと思います。

KEYWORD:和歌山

ニュース和歌山「国政直送便」/生活保護受給問題 言及の真意

2012年06月16日

生活保護受給問題 言及の真意


タレントの親が生活保護を受けていた問題が注目されています。私の指摘がきっかけということもあり、多数メール等が来ていますが、大半は「よく指摘してくれた」といった支持の内容です。しかし一部に「プライバシー侵害」、「個人攻撃」といった誤解した内容もあるので、きちんと説明しておきます。

以前このコラムで紹介したように、私は財政に深刻な影響を与えている生活保護制度の改革が必要だと考え、タレントの問題表面化のはるか前から取り組んでいます。3月には自民党のプロジェクトチーム座長に就任、党の生活保護改革案を取りまとめました。現在は生活保護法改正の議員立法に取り組んでいます。

その中でこの問題を週刊誌が匿名報道しました。やがてネットでタレントの実名が取り上げられ、多数の人がこの問題を知ることとなりました。私は、高収入のタレントの親の生活保護受給が放置されると、親を扶養している一般の人たちが「自分の親にも受けさせよう」となり、生活保護費が膨張、財政を圧迫するのではないかと懸念しました。

人気商売でもあり、本人が説明して国民が納得のいく対処をするのではないかと期待しましたが、本人の沈黙が続く中で、私はやむを得ずツイッターでコンビ名を添えて「本件に関心を持っている」、「返納してもらう必要あり」と指摘しました。


プライバシーについては、タレント本人はテレビに出て影響力を持っている以上は準公人。また本件はタレント名を含め多くの人にとり既知の事実。タレントは家族のことを進んでネタにしてきており、親に関する著書もあり、表紙で親の写真も公表している。そして本件を放置すると保護費の増大から財政への悪影響という公益上の問題が発生する。こういった点を熟慮した上、この問題に言及しました。

政治家が問題を指摘したことで、ようやくマスコミも取り上げ、最終的には本人が会見、返納表明しました。

今回の件は個人攻撃が目的ではありません。タレントの影響を受けて生活保護受給のタガが外れることを懸念しての指摘でした。彼の返納表明は率直に評価したいと思います。

現在は参議院法制局と共同で生活保護法改正の具体案づくりの作業に取り組んでいます。今まで通り、制度論としての生活保護改革に尽力します。

KEYWORD:社会保障

和歌山新報「がんばってます」/生活保護制度改革に全力

2012年06月12日

生活保護制度改革に全力

―タレント問題指摘の経緯―

売れっ子タレントの親が生活保護を受けていた問題をきっかけに、生活保護問題に対する注目が集まっている。私のところに来るメールの9割以上は「よく指摘してくれた」、「もっと掘り下げて欲しい」といった支持や激励の内容だが、一部に「プライバシーの侵害だ」、「個人攻撃はおかしい」といったTVコメンテーター等の影響を受けた誤解に基づいた内容もあるので、この際きちんと説明しておきたい。

私はこのタレントの問題で生活保護問題に取り組んでいるわけではない。ましてや個人攻撃が目的であるわけもない。以前このコラムでも紹介したように、私は近年の生活保護費の増大が財政に深刻な影響を与えており、消費税増税を議論するならばまずは生活保護制度の改革が必要だと考え、タレントの問題が表面化するはるか前から生活保護問題に取り組んできている。3月には自民党のプロジェクトチームの座長に就任し、党としての生活保護改革案を取りまとめた。現在は生活保護法改正の議員立法に取り組んでいる最中である。

その中でこの問題が週刊誌で匿名報道された。そして別の雑誌やネットでタレントの実名が報道されるようになり、極めて多数の人がこの問題を知ることになった。ネット上で批判、不満が渦巻いていた。私は人気商売でもあり、いずれ本人が説明して国民が納得のいく対処をするのではないかと期待していた。しかし本人は完全に沈黙し、TVや全国紙も報道することはなかった。

私が危惧したのは、明らかに高収入のタレントが親に生活保護を受けさせていることが広まったまま放置されると、親を扶養している一般の人たちが「彼の親が生活保護を受けられるならば、自分の親にも受けさせよう」ということになり、生活保護費が更に膨張し、財政を圧迫することになるのではないかということであった。

一向に本人から説明がない状況が続く中で、私はやむを得ずツイッターでタレントのコンビ名を添えて「本件に関心を持っており厚労省からヒアリングする」「返納してもらう必要あり」と言及した。またブログでも「本人が説明を」「国民の模範を示して」と訴えた。


その際、プライバシーについても熟考した。タレント本人はテレビに出て一般人に影響力を持っている以上は準公人といえる。また本件はタレント名を含めネット上で広く流通しており、多くの人にとって既知の事実となっている。タレントは家族のことを進んでネタにしてきており、親に関する著書もあり、表紙で親の写真を公表している。そしてなによりも本件を放置すると生活保護費の増大から国家財政への悪影響という公益上の問題が発生する。こういった点を勘案の上、コンビ名を書いた上でこの問題に言及した。

国会議員が問題点を指摘したことで、ようやく一般メディアも取り上げ、社会問題となり、最終的には本人が会見して、返納を表明した。

今回の件は個人攻撃が目的ではない。TVに出ているタレントの影響を受けて生活保護受給のタガが外れることを懸念しての問題指摘であった。彼が返納を表明したことは率直に評価したい。現在は参議院法制局と共同で生活保護法改正の具体案づくりの作業に取り組んでいる。今後は今まで通り、制度論としての生活保護改革に全力投球していきたい。

KEYWORD:社会保障

ニュース和歌山「国政直送便」/ネットワークを和歌山活性化に

2012年05月19日

ネットワークを和歌山活性化に


先月7日、私の主催で「和歌山活性化サミット」を開催しました。政治家は政界内や官僚との会合が多くなりがちですが、私は初当選以来国会活動以外の早朝、昼食、夜を活用して、気鋭の経営者、学者などとの交流に力を入れてきました。

結果、幅広い人的ネットワークを持つようになり、先輩の山本一太議員のブログでも「世耕氏の強みは各方面に幅広い人脈を持っていること。彼のスゴいところは官邸を離れた後も政権中枢で構築した人脈のネットワークを維持している点。いや正確に言うとさらに拡充・深化させている。様々な方法で異能力者も取り込んでいる」と紹介されるほど人脈の幅が認められるようになり、政治家として最大の武器になっています。

また「G1サミット」という若手経済人、学者、文化人が集う日本版ダボス会議の世話役も務め、日本の次世代リーダー交流の結節点にも立っています。この資産を和歌山のために役立てようと企画したのが「和歌山活性化サミット」です。先進的リーダーの話を聞き、和歌山の皆さんに地域活性化の新しい発想を得てもらいたいというのが趣旨です。

内容は通常の講演会とは異なり、参加者は動員をかけず、完全招待制。単に成功談に感動するだけにとどまらず、実際の行動に移せる経営者を中心にしています。私が聞き手のパネルディスカッション形式で進めます。一方通行の講演では行政が企画する会と変わりません。また和歌山と関係のない体験を聞いても意義がありません。和歌山が抱える問題点を熟知する私が聞き手として、ゲストから和歌山に役立つ話を引き出していきます。会場から質問も多数受けます。


講演後は会費制立食懇談会をセット。名刺交換やゲストとの具体的な情報交換も進められるようにもしています。第1回は農家ながら年50億円を売上げている千葉の和郷園の木内博一代表に来てもらいました。木内さんからの斬新な農業経営改革の話は、260名の参加者に強い刺激を与えていました。懇談会では木内さんを囲んで、色んな情報交換が行われました。

第2回ゲストは旅館業界の革命児、星野リゾート代表の星野佳路さんです。今後も私の人的ネットワークを和歌山活性化のためにフル活用していきます。

KEYWORD:和歌山