和歌山新報「がんばってます」/社保庁任せでなく政治主導で
2008年02月19日
社保庁任せでなく政治主導で
安倍内閣当時に明らかになった5000万件の宙に浮いた年金記録に関して、福田内閣でも混迷が続いている。安倍内閣当時は「5000万件のデータのほとんどが亡くなった方のデータか、結婚して姓が変わった方のデータ、短期勤務の後退職して一時金で精算が完了している方の消し忘れたデータであり、ソフトウェアを使って名寄せは可能」としていた社会保険庁が昨年末になって1975万件については、基礎年金番号への統合が困難であると発表したために、「今年3月末までに5000万件の名寄せを行って、通知できる人には通知を行う」という7月5日の政府・与党合意が達成できないのではないかとの懸念が強まっている。
この状況を見過ごすことができないと自民党の国会議員有志が立ち上がった。年明け早々中川秀直、塩崎恭久、茂木敏充、菅義偉そして私の5名が国会近くの会議室に密かに集まった。それぞれ安倍内閣当時幹事長、官房長官、党年金検証プロジェクト座長、総務大臣、補佐官という立場にあったものであり、年金記録問題に関して人一倍責任感を持っているメンバーである。この5人で議論した結果、政治家主導でこの問題に関する社会保険庁の対応を徹底的に監視し、3月末までに国民にきちんと説明できる結果を出そう。そして国民が安心できる年金行政を実現していこうということになった。他に社会保障に精通した議員、調査能力を有する若手議員等に声をかけて、1月中旬に約20名で「年金行政改革議員連盟」が発足した。
5000万件の名寄せ作業は現在危機的な状況にある。該当記録がある可能性が高い1100万件の加入者、受給者からは送付した「ねんきん特別便」にまだ満足な返信が来ていない。1975万件の検証作業もまったく見込みが立っていない。議連では毎回社会保険庁を呼び、5000万件の名寄せ状況について厳しく確認し、いろいろと改善させてきている。例えば、当初は「特別便」には加入履歴がかかれているだけだったが、「あなたには該当する記録がある可能性が高い」との注意書きを入れるようにした。また、各県に数カ所しかない社会保険事務所では十分な対応ができないので、社会保険労務士会の皆さんのご協力を得て、連携するよう指導もした。「特別便」が来て、電話や来所して相談をする人への対応マニュアルも不親切極まりないものだったので、大幅に改善させ、会社名等のヒントを積極的に示すようにした。
1975万件の統合困難データ発生の背景には、何らかの不正行為があった可能性もある。1100万件の該当データをどのようにして基礎年金番号に結びつけていくかの工程も不明確である。今後は該当者への親切な対応を徹底させるとともに、1975万件の解明にも全力を投入していきたい。こういう問題を社保庁任せにするのではなく、政治主導で解決するという意気込みで、がんばっていきたい。