2012年04月10日
去る3月1日、私は自民党の生活保護に関するプロジェクトチーム(PT)の座長に任命された。
きっかけは、平成24年度政府予算案に対する自民党の見解をまとめる政調全体会議において私が発言を求め、「生活保護費の膨張は目に余る。国民の不公平感が限界に達している。いまこそ自民党が保守政党として自助自立の精神で勇気を持って生活保護費の削減に取り組むべきだ」と発言したためである。直後に茂木政調会長から電話がかかってきて、「言い出しっぺなんだから、世耕君が座長になって、削減プランを取り纏めてくれ。プロジェクトのメンバー選定もすべて任せる。結果は衆議院選挙に向けたマニフェストに反映する」と言われた。
会議で発言した者を座長に選定し、全権を委任する。こういう機動力がわが党の強みでもある。早速前から保護費問題に関心を示していた小泉進次郎議員や三原じゅん子議員らに声をかけて、メンバーになってもらった。
毎週末和歌山に帰ってきて、皆さんと対話させていただく中で、最近とくに生活保護に関する不満を耳にすることが多くなった。「年金との逆転現象は納得できない」「働けるのに受給している人がいる」などなどである。本当に困っている人に助けの手を差し伸べるのが生活保護の本来の目的だが、民主党政権になってたがが外れていて認定のハードルが低くなっている。特に働ける世代の受給率が急増していることは問題だ。
有識者ヒアリングや4人に一人が生活保護受給者となっている大阪市西成区の視察を経て、PTで集中的に議論した結果、生活保護に対する自民党の方針が固まった。
まず、給付水準を10%程度は引き下げたい。この10年で一般勤労者の年収はデフレの影響もあって15%程度下がっている。和歌山の一般生活者の実感もそんなところだろう。しかし生活保護給付水準は0.7%しか引き下げられていない。また生活保護に頼らず頑張った場合に受け取れる最低賃金と比較しても生活保護の方が高くなっている。
現在の経済情勢に合わせて給付水準は引き下げられるべきであろう。
また生活保護費の半分が医療費で使われている。全額国庫負担ということで、一部の患者や医療機関にはモラルハザードが起こっている。こういう事態を防ぐために、生活保護受給者が受診できる医療機関を指定制にする▽薬は後発薬(ジェネリック)の使用を義務づける▽低額でもかまわないので診察毎に一定の自己負担をしてもらう―。などの改革を行って、過剰な受診の抑制を図っていきたい。
他にも現金給付でカバーされている食料や住居を現物給付化することでお金の流用や貧困ビジネスの防止に努めていきたい。勤労と生活保護卒業のインセンティブを与えるために、生活保護期間に働いて得た収入を公的に「凍結貯蓄」の形で預かり、生活保護給付終了時に自立資金として渡す制度なども検討していきたい。最終的には生活保護が不可避な高齢者や障害者と、働くことが可能な層との間で制度を分割すべきである。そして後者に対しては真摯な求職活動を義務づけ、ハローワークの就職あっせんを断った場合には生活保護費を減額する仕組みを導入したい。
また長期的取り組みとしては、小学校時代から勤労やお金に関する基礎的教育を行っていくことの重要性も指摘しておきたい。
2012年03月27日
自民党 の社会保障制度に関する特命委員会の下に設置された 生活保護に関するプロジェクトチーム に座長として出席し、これまで厚生労働省や有識者からヒアリングを行った5回の全体会議と1回の現場視察を踏まえて論点整理を行った。全国の生活保護受給者は2012年1月に209万を超え過去最多を更新、生活保護費は2011年で約3.5兆円。
2012年03月26日
自民党の 生活保護に関するプロジェクトチーム に 財団法人自治体国際化協会 の木村陽子理事長を講師に迎え、「地方自治体と生活保護制度改革」をテーマに、ワーキングプアなど新たなセーフティーネットのあり方等について意見を交わした。自治体国際化協会(CLAIR)は自治体の海外における諸活動の支援など地域の国際化のために幅広く活動する財団法人。
2012年03月21日
自民党の 生活保護に関するプロジェクトチーム に関西国際大学教育学部教育福祉学科の 道中隆 教授を講師に迎え、3月19日の大阪市西成区 視察 を踏まえ、「保護受給層の生活実態と社会的不利益の世代的連鎖」を議題に意見を交わした。道中隆教授は社会福祉援助技術論(貧困問題や生活保護等要援護者の自立支援、ホームレス問題など)を研究している。
2012年03月19日
自民党 生活保護に関するプロジェクトチーム 座長として大阪市で生活保護受給率の高い 西成区 を訪れ、区役所職員から生活保護の実態について説明を受け、生活保護法を根拠とする救護施設 社会福祉法人大阪自彊館 「三徳寮」を視察した。その他、 財団法人西成労働福祉センター や 国立病院機構大阪医療センター 、 萩之茶屋シェルター を視察してまわった。