世耕弘成 SEKO HIROSHIGE

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和歌山新報「がんばってます」/生活保護制度改革に全力

2012年06月12日

生活保護制度改革に全力

―タレント問題指摘の経緯―

売れっ子タレントの親が生活保護を受けていた問題をきっかけに、生活保護問題に対する注目が集まっている。私のところに来るメールの9割以上は「よく指摘してくれた」、「もっと掘り下げて欲しい」といった支持や激励の内容だが、一部に「プライバシーの侵害だ」、「個人攻撃はおかしい」といったTVコメンテーター等の影響を受けた誤解に基づいた内容もあるので、この際きちんと説明しておきたい。

私はこのタレントの問題で生活保護問題に取り組んでいるわけではない。ましてや個人攻撃が目的であるわけもない。以前このコラムでも紹介したように、私は近年の生活保護費の増大が財政に深刻な影響を与えており、消費税増税を議論するならばまずは生活保護制度の改革が必要だと考え、タレントの問題が表面化するはるか前から生活保護問題に取り組んできている。3月には自民党のプロジェクトチームの座長に就任し、党としての生活保護改革案を取りまとめた。現在は生活保護法改正の議員立法に取り組んでいる最中である。

その中でこの問題が週刊誌で匿名報道された。そして別の雑誌やネットでタレントの実名が報道されるようになり、極めて多数の人がこの問題を知ることになった。ネット上で批判、不満が渦巻いていた。私は人気商売でもあり、いずれ本人が説明して国民が納得のいく対処をするのではないかと期待していた。しかし本人は完全に沈黙し、TVや全国紙も報道することはなかった。

私が危惧したのは、明らかに高収入のタレントが親に生活保護を受けさせていることが広まったまま放置されると、親を扶養している一般の人たちが「彼の親が生活保護を受けられるならば、自分の親にも受けさせよう」ということになり、生活保護費が更に膨張し、財政を圧迫することになるのではないかということであった。

一向に本人から説明がない状況が続く中で、私はやむを得ずツイッターでタレントのコンビ名を添えて「本件に関心を持っており厚労省からヒアリングする」「返納してもらう必要あり」と言及した。またブログでも「本人が説明を」「国民の模範を示して」と訴えた。


その際、プライバシーについても熟考した。タレント本人はテレビに出て一般人に影響力を持っている以上は準公人といえる。また本件はタレント名を含めネット上で広く流通しており、多くの人にとって既知の事実となっている。タレントは家族のことを進んでネタにしてきており、親に関する著書もあり、表紙で親の写真を公表している。そしてなによりも本件を放置すると生活保護費の増大から国家財政への悪影響という公益上の問題が発生する。こういった点を勘案の上、コンビ名を書いた上でこの問題に言及した。

国会議員が問題点を指摘したことで、ようやく一般メディアも取り上げ、社会問題となり、最終的には本人が会見して、返納を表明した。

今回の件は個人攻撃が目的ではない。TVに出ているタレントの影響を受けて生活保護受給のタガが外れることを懸念しての問題指摘であった。彼が返納を表明したことは率直に評価したい。現在は参議院法制局と共同で生活保護法改正の具体案づくりの作業に取り組んでいる。今後は今まで通り、制度論としての生活保護改革に全力投球していきたい。

KEYWORD:社会保障